売掛金や貸付金などの債権は、消滅時効にかかります。消滅時効とは、一定期間の間、債権者が何らの督促や請求もせず、また、債務者からも支払や支払猶予の申入れなど債務承認と見られる行為等がない場合に、一定期間の経過後、債権が消滅してしまうというものです。
たとえば、返済時期を平成23年8月1日と定めて100万円個人間で貸し付けたとすると、この場合の消滅時効は10年ですので、10年間何らの督促や請求もせず、また、債務者からも前記の債務承認行為等がなかった場合には、100万円の貸付金は時効により消滅してしまいます。
この消滅時効は、内容証明郵便等により請求や督促をすることで、中断することができます。ただし、この場合の中断の効果は一時的で、6か月以内に、仮差押え、仮処分、訴訟提起といった法的措置をとらないと中断の効果は失われてしまうので、注意が必要です。
消滅時効完成間近で、訴訟の準備をしている間に消滅時効が完成してしまうといったケースでは、取り急ぎ、内容証明郵便等による請求・督促で一時的に消滅時効を中断しておき、6ヶ月以内に訴訟提起等の法的措置をとるとよいでしょう。
なお、主な債権の種類とそれに対応する消滅時効の期間は、以下のとおりです。
債権の種類 |
期間 |
製造業、卸売業、小売業の売掛代金 |
2年 |
建築工事などの請負代金 |
3年 |
地代・家賃 |
5年 |
確定判決などに基づく請求権 ※1 |
10年 |
※1:2年や3年といった短期の消滅時効にかかる債権も、訴訟を提起して確定判決を取得すると、消滅時効の期間が10年に延長されます。