契約時の費用(敷金・保証金)

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契約時の費用(敷金・保証金)

賃貸借契約を結ぶ際に支払ってもらうお金には、「敷金」「保証金」「権利金」「礼金」などがあります。また、契約更新時に支払ってもらうお金として更新料があります。


敷金とは、借主が支払いを怠った家賃(滞納賃料)や、賃貸物件を傷つけてしまった場合の損害賠償金を担保するために支払われるものです。


地方の慣行で異なる「敷金」


借主が建物や部屋を明け渡した後、貸主は滞納賃料や原状回復にかかった費用を敷金から差し引きますが、残った分は借主に返還しなければなりません。
敷金をいくらにするかについては、法律で特に決まっているわけではなく、各地の取引慣行によって異なります。東京では、一般的に、敷金は賃料の1~3カ月分とすることが多いようです。


「敷引特約」について


関西地方では、明け渡しの際に敷金の何割かを差し引いた上で、さらに滞納賃料や原状回復にかかった費用を差し引き、その残りを借主に返還するという特約が結ばれることがあります。


このような特約を「敷引特約」といいます。
敷引特約は、これまで有効な特約であるとされてきました。


しかし、最近では、信義則(お互いに相手の信頼を損なわないように行動すべきだという原則)に違反して賃借人の利益を一方的に害するものであるとして、「消費者契約法」10条により、無効であるとする判決が相次いで出されています(神戸地裁/平成17年7月14日判決、大阪高裁/平成18年7月26日判決など)。


「保証金」について


保証金は、通常、店舗用のテナントビルの賃貸借契約で求められるお金です。
保証金は、敷金として支払われることもありますが、その他に、テナントビルの建設協力金として、あるいは賃貸借契約を中途解約した場合の違約金として支払われることもあります。
保証金は、これらのうちのひとつでなく、2つ以上の性質を併せ持つことが多いようです。


保証金がどのような性質のものであるかは、賃貸借契約の内容によって決まります。
たとえば、東京高裁の平成13年11月1日判決では、借主から貸主に支払われた保証金について、「敷金としての性質を有する部分がある」と判断しています。


賃貸借契約書上、保証金を借主の滞納賃料や損害賠償金に充当できると規定されていること、また他に敷金名目の金銭の授受がされていないこと、返還時期が賃貸借契約終了時とされていること、などが理由です。


このように判例も、賃貸借契約の内容によって保証金がどのような性質のお金なのかを判断しています。